秋講座5回目

秋講座の最終回は、描画の注意点についてお話ししました。

まずは様々な側面から注意点を見ていきました。
形を描写する際には姿勢や視点を変えないこと、絵皿に埃が入らないよう気をつけること、時間帯による環境の変化に気をつけること、モチベーションを保つことなど、どれも些細なことですが大事です。
小さな不具合に目をつむっていると、気づかないうちにどんどん状況を難しくしてしまいます。
植物はただでさえ複雑な色形をしているので、できるだけ描きやすい状況を整え、描画に集中したいものですね。


さらに、どうしても難易度の高くなってしまう事例をいくつか挙げました。
例えば、大きな作品、特殊な色の植物、非常に細かい構造など、あえて取り上げるまでもなくひと目で難しそうだなと想像できるポイントです。
これまでの講座でもいくつか扱ってきましたが、今回は一目では気づきにくい難点に目を向けてみました。

それは、ものとものが重なる部分です。
葉と葉、花と茎など、植物を描こうとすれば必ずと言っていいほど頻繁に起きる状況です。
しかしながら、植物画では説明的なわかりやすさが優先されるため、複雑な重なり自体が避けられる傾向にあります。植物の色形の描写には尽力しても、奥行きや空間描写に時間をかけることは少ないのではないでしょうか。そのためか、この点に関してはなんとなくうやむやに誤魔化されたような表現をよく目にします。
ちょっと難しい部分ですが、基本をおさえ、願わくば気分良く対処できるようになりたいですね。

講座では、模式図と対応させた実際の作品例をスライドでご覧いただきました。
どんな状況が描画を難しくさせるのか、その理由と対処法を確認しました。
制作の際に意識していただけたら嬉しいです。


秋は展覧会シーズンであるため、ご自宅用の課題は設定しませんでした。
来年の冬講座では、各回ごとに描画課題をご用意してお待ちしています。
どうぞよいお年をお迎えください。

Botanical Art Classes

池田真理子の植物画講座

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