模写と著作権
前回、図録に掲載された他作品を模写してもよいかと質問をいただきましたので、注意点についてお伝えいたします。
結論から言ってしまうと、ボタニカルアートの勉強には実物写生をお勧めします。
個人的な学習目的での模写は認められているのですが、展覧会やインターネットで元の作品画像や模写した作品を公にすると、場合によっては著作権の侵害になります。
一般的には、作者の死後50年(海外作品はそれ以上)を経過すると作品の著作権が切れて、誰でも画像を利用できます。例えば、200年前のルドゥテの作品を公開することはできますが、存命作家の作品や、没後50年を経ていないパンドラ・セラーズの作品などは許可なく公開することはできません。
先人の卓越した作品を目の当たりにすると、模写をしたくなる気持ちもわからないわけではないのですが…。
結局のところ、模写は他人が制作した作品を表面的に写す行為ですから、例え上手にできたとしても自らの表現活動にはなりません。私の個人的な意見としては、植物に直に触れて感動してこそ作品に魅力が備わると考えています。
どうか目の前の植物に向き合い、制作過程を楽しんでください。
Tulip - Baquet rigaux optimus
G.D.Ehret
1740年
©︎ The Board of Trustees of the Royal Botanic Gardens, Kew
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