秋講座2回目

今回は、基本となる植物の入手方法を確認し、それぞれのメリットデメリットを学びました。

切花や鉢植えの植物は誰でも簡単に入手できる反面で、入手できる部位や形状が限定されます。
それに対して、野生から採取したり自ら栽培する場合は選択肢が広がりますが、土地の管理者と交渉したり、栽培の世話をしたりと労力がいります。

屋外写生をもとに植物画を描く場合は、見えている部位は自由に描くことができます。採取できない希少種や樹木の全体像にも対応できますが、植物を室内に持ち込んで観察できないことはそれなりにストレスです。

描きたい植物の条件に合わせて、いくつかの方法を組み合わせるなどし、作者にとって有利な描画計画をたてることが肝心です。


これらの基本事項をふまえて、1800年代前半に活躍した、著名作家フェルデナンド・バウアーを一例にあげ、植物の入手から作品につなげていくまでのプロセスを学びました。

Native Hibiscus
1803, Ferdinand Bauer 
From; David Mabberley; Ferdinand Bauer The Nature of Discovery, 1999


バウアーは植物学者に同行して植物採取を行っています。現地で軽いデッサンを行い、色の記録に特有の識別番号を使いました。そのごイギリスに持ち帰った植物標本とデッサンを手がかりにし、クオリティの高い作品を量産しています。

200年ほど前の状況では、使える顔料の色数も少なく、写真のような便利な記録手段もありません。植物を冷蔵庫で長持ちさせることも難しい時代です。
このようなシビアな状況で、正確かつ美しい植物画を大量に制作するのは至難の業だったことと思います。
バウアーの計画的なプロセスは、便利な時代に生きる私たちにも制作のヒントを与えてくれます。


次回は、今回の内容に引き続き、最近の研究で解明されたバウアーの彩色秘話をお伝えします。

Botanical Art Classes

池田真理子の植物画講座

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