植物は考える
大場秀章著、1997年、河出書房。
植物画分野でも高名な大場先生が、今から20年ほど前に「植物は考える」という本を出されていました。最近植物の能力に興味がありとても面白かったです。偉い先生が「植物は考える」と言っているのだから、もう植物の知性は疑いようがないものと思えてきました。
他の植物の成長を阻害するアレロパシーや、森林浴で知られるフィトンチッドなど、植物の「やりとり」は私たちの身近に存在するようです。以前オニグルミを描いた際に、樹木の周囲だけ全く草が生えておらず、アレロパシーの影響を感じたことがあります。
植物の進化の歴史や、シダ植物、裸子植物、被子植物それぞれの子孫繁栄の方法などもわかりやすく説明されています。もうすっかり忘れていましたが、高校の生物の課題でシダの前葉体を育てたことを思い出しました。
現在描いているタコノキの栽培種には、美味しい実をつけて人間に好まれようとする、共生を意識した「考え」があるのではないかと思えてきます。逆にジャングルに生息していた野生のタコノキには、人を寄せ付けないような圧倒的なオーラを感じました。両者の違いは、動物に置き換えるとペットと野生動物のようなものなのでしょうか。ペットの気持ちはわかっても、野生動物の気持ちを汲み取るのは難しそうです。
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