11月27日

秋講座の4回目は、現代活躍されている作家の作品から学びました。

今期は陰影と構図をテーマに進めてきましたが、今回ご紹介した酒井克典さんは、この2点を学ぶのにふさわしい作家です。
作品はみずみずしい筆運びで制作され、自然の風景の一部を切り取ったような臨場感があります。

まず陰影に注目してみると、ものの「陰」が的確に描写されているので、淡く優しい彩色を保ちながら、メリハリのある空間が確立されています。
また、「影」を利用して、それぞれの物体同士にどれだけの距離があるのかが正確に表されています。影が濃いものほど距離が近く、距離が離れるほどぼんやりとした淡い影が落ちていますね。


この講座では、西洋絵画に見られるような構図法についてお話ししてきました。ものの配置に迷ってしまったときに、黄金比や三分割法などの一種の型があると、自分自身を納得させられるという安心感があります。
けれども、便利な方法論に頼りすぎると、自然が織りなす無作為の美しさをつい見落としてしまうこともあります。

酒井さんの作品は、自然から受けるインスピレーションの大切さを私たちに気づかせてくれました。
散策や山歩きなどで自然に親しみ、日ごろから審美眼を養うことが大切ですね。

アオツヅラフジ 部分
酒井克典
アオツヅラフジ
酒井克典

その他の作品は下記のサイトからご覧になれます。
水彩画ぎゃらりーさかい
https://www.suisaiga-gallery-sakai.com/


講座では海外作家のボタニカルアート作品もご紹介しました。
近年ではボタニカルアートと呼ばれる作品も多様化しています。
それぞれ制作スタイルの異なる作家の視点を垣間見ることで、私自身もとても勉強になりました。


次回、2023年の冬講座では混色や彩色技法など、色をテーマにお話ししたいと考えています。
皆様のご参加をお待ちしております。
今期もご受講いただきありがとうございました。




Botanical Art Classes

池田真理子の植物画講座

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