10月18日
秋のオンライン講座がはじまり、無事1回目を終わらせることができてほっとしています。
寛大に見守ってくださいました皆様に感謝しております。
途中、インターネット環境が不安定になり、音声や画像が途切れたところがあったこと、ご不便をおかけし申し訳ありませんでした。動画ファイルの重さに原因がありそうなので、今後改善させたいと思います。
1回目は、植物画の制作方法を手順を追ってご紹介しました。どのような作品を植物画と呼ぶのか、鉛筆による下書きと転写、水彩絵具による彩色の工程を見ていただきました。
1) ご質問いただいたトレーシングペーパーの枚数について、初めてこの方法を教わった際には私も驚きました。とても合理的な方法なので、モチーフが複雑なときにはぜひ試してみてください。
教えてくださったのはロンドンにあるチェルシー植物画学校の学長、ヘレン・アレン (Helen Allen) 先生です。植物画の著書で有名な、アンマリー・エバンス (Anne-Marie Evans) の教えを継ぎながら、教育者としての経験を活かした論理的でわかりやすい指導をされています。他にもなるほど…!と納得させられる工夫が満載でしたので、今後また折り折りでご紹介します。
2) ヴェラムについての質問もいただきました。
確かに、羊皮紙を初めてご覧になる方にとっては、動物愛護の観点から見るとギョッとしてしまうような内容だったことと思います。
紙に描かれる場合は、アルシュやファブリアーノなどの目の細かな水彩画用の紙をお使いください。
私がヴェラムを選択しているのは、学生時代からの研究対象が「伝統的な描画材と描画技法」であることに理由があります。4000年以上の歴史を持つ羊皮紙ですが、現代では製造者が減少し続けており、残り少ない工房も存続が危ぶまれています。日本画に使われる膠や胡粉に同様の危機を見てきた身としては、伝統ある優れた描画材や描画技法を後世へ継ぐ必要性を強く感じているところです。
しかし動物を利用しているという事実は変わりませんから、例え原皮が廃棄処分されるものだったとしても、制作には常に葛藤を感じます。ひとつの作品に背負わせる責任が重いため、作品発表に関しても、植物保全や教育に貢献できる場であるのか慎重になります。
ちょっと重い内容になってしまいましたが…気を取り直し、次回は構図に関してお話しできることを楽しみにしています。
一般的な絵画に共通する構図法に加えて、植物園で作画する作家からのワンポイントアドバイスなど含めてお話しする予定です。ボタニカルアートとサイエンティフィックイラストレーションを比較すると、構図に関しても配慮するべき点が違ってきます。その辺りもご参考になれば幸いです。
0コメント