植物画コンクール
「植物画コンクール」の作品展が、4月中旬から5月中旬まで上野の国立科学博物館で開催されます。
36回目を迎える今年度の応募数は、約1500点ということでした。ここ数年の作風は高い水準で安定していると感じますが、1万人近い応募があったと記憶している1990年代と比べると明らかに減少しています。
特に小中高生の応募数の推移が著しく、若い世代の関心が薄れつつあることを感じます。
日本の植物画は、欧米のボタニカルアートの影響を受けながらも、やはり元からある日本独自の精神を主体にして発展してきました。国外で日本人作家の作品を見るとき、良くも悪くも、共通する特徴があることに気づかされます。そしてこれらは比較的高い評価を受けているのも事実です。
「植物画コンクール」は、一般社会に対して植物や環境学習の機会を与え、30年以上にわたり国内に植物画の指針を示してきました。近年、日本人作家が国際的な評価を得るようになったのも、当コンクールが早くから国内の土壌を作り上げてきたおかげです。このような展覧会が国の機関によって運営されてきたことに、一作家として深い感謝の念を抱いています。
しかしながら、急速なグローバル化により状況は刻々と変わりつつあります。諸外国での次世代作家の活躍と育成を目にし、今後国際的な水準を押し上げるだろうと想像しています。
「植物画コンクール」の応募数の減少を目の当たりにした今、将来に向けて、その威信を新たにしてほしいと願わずにはいられません。
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