ツチグリ

以前から気になっていたツチグリというきのこを見つけ、描いてみることにしました。


菌類を描くのは初めてなので、まずは情報を集めます。ツチグリは日本全国の林に分布しており、ツチグリ属は海外にも生息しているようです。学名はAstraeus sp.で、アストライオスというギリシャ神話の星の神様の名前が由来です。和名の「土栗」と違って何やらかっこいい学名だと知ると、急に印象が変わって見えてきました。星の神様だなんて…ロマンチックです。


日本ではお味噌汁などに入れて食べる地域もあるそうで、食べられるきのこのようです。私が見つけた時点ではもう星の形に開いてしまっていたのですが、食べるのは開く前の栗のような幼菌です。外側の星部分と内側のお饅頭部分の二重構造になっています。

お饅頭のような袋に胞子が入っていて、上部に空いた切れ込みから胞子を飛ばします。恐る恐る解剖してみると、弾力のあるふわふわの物質が均一に詰まっていました。想像していたようなグロテスクな感じではありませんでした。


乾燥すると星型の部分が内側に丸まってしまうので、室内に洗濯物を干したり加湿器をかけて、部屋の湿度を80%ほどに高めて制作しています。

ツチグリは色みに変化が乏しいため、形の面白さが際立つよう、ペンとインクで描いてみることにしました。

ヴェラムにペンで描く場合には、紙に描く場合と要領が異なります。初めは慣れずに奮闘しましたが、次第にヴェラムのメリットを活かせるようになりました。

点描の繰り返しは、単純作業なのでつい夢中になります。下の画像はツチグリを裏から見た状態です。根のようなものがついています。

ペン画に慣れていないため、どのような方向性で作品を仕上げれば良いかイマイチつかめずにいます。今回描いた作品は鉛筆デッサンのような雰囲気になってしまいましたが、もっと一つ一つの点描を明確に見せ、模式的に描写する必要があるのかもしれません。


それに加えて、菌類を描く場合に、どの部位が必要なのかわからずにいます。今回描いたような裏返しの図は、一般的な植物に対してはあまり選択されないアングルです。また本来なら、星型に開く前の幼菌や、二重構造を説明するための断面図などを描くべきなのかなと思いました。


まだまだ課題はありますが、気になっていた菌類を描くことができて楽しかったです。

Botanical Art Classes

池田真理子の植物画講座

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