綿花と藍

お隣町の益子の陶器市で、日下田藍染工房を訪れました。

日下田藍染工房は益子の「玄関口」に建つ立派な茅葺屋根の工房です。220年以上前から現在まで藍染を守り伝えています。いつも変わらない佇まいですが、益子陶器市の際にはなんとなく毎年決まって訪れる場所です。
炭と藍の匂いが漂う薄暗い工房は、何十年も昔にタイムスリップしたような厳かな感じを醸し出しています。植物に密着した民芸技術と、変わることなく淡々と操業してきた歴史を肌で感じられるお気に入りの場所です。


もともと真岡木綿の栽培が盛んな地域だったことからここに藍染工房が建てられたそうです。工房では藍染の服や布の販売もあり、藍染体験や綿花から糸を紡ぐ体験もできます。見学は無料&自由です。丁寧な手仕事が織りなす素朴な雰囲気に、ぐっと引き込まれること間違いなしです。


手入れの行き届いた庭先には材料の綿花が飾られていました。ふわふわのワタに、いくつかの種が包まれています。ボタニカルアートでおなじみのファブリアーノやアルシュなど高級水彩画紙は、この綿花を100%原料にしてできています。なんとも不思議で利用価値の高い植物です。


この地域ならではの茶色い綿花も少量ながら栽培されています。以前、荒地でもよく育つと聞き、種子をいただいて栽培しようとしたのですが失敗に終わりました。ちょっとしたところにも長年培われたノウハウがあるのだろうと思います。

益子は陶器も含めて民芸運動が盛んで、噛めば噛むほど味が出てくるような地域です。森林も豊富なので散策にもちょうど良いですし。今後もどんな面白さを見つけられるか楽しみにしています。

Botanical Art Classes

池田真理子の植物画講座

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