7回目
今回は、作品展に向けて個々に制作を進めました。
立派なアケビ、ポーポー、アオギリの実などが集まりました。秋は植物画にピッタリなモチーフがたくさん見つかりますね。
緑豊かな地域だということを改めて感じました。
これまでの回では、植物画の技法面に焦点を当ててきました。しかし、実際のところは技術的に「上手」であれば必ず良い作品になる、というわけでもありません。
「何」を「どう」描くのかが、作品の質を大きく左右します。
当たり前といえば当たり前ですね…。
これではちょっと抽象的すぎるので2つ具体例をあげてみます。
例1) カキの葉の紅葉が美しいと思い描いたが、葉だけではさみしい気がしたのでカキの実を加えた。
この場合、葉の美しさを一番に表そうとした作品だったのに、立体的な果実を加えることで、あとから主役の座が奪われてしまいます。途中で作品の本題が変わってしまう、よくある例です。一見、問題ないようにも思えますが、行き当たりばったりなのでどこかバランスが崩れがちです。
「何」を描きたいのか計画的に進めると、伝えたい思いがブレずに鑑賞者に伝わります。
例2) 主役となるスギナの背景に、計画的に地下茎と根を描いた。根はあくまで脇役なので、観察せずに美しいアレンジを優先した。
このような作品は、絵画としての統一感は得られていると思います。表現方法は自由ですから、決して間違っているという話ではありません。
しかしながら、ボタニカルアートとして描くのであれば、やはり科学的な正確さが必要です。「どう」描くのかという点で、自分が目指したい作風をもう一度確認してください。
秋は作品制作にちょうど良い季節です。
小さな植物の一部でも作品にするには十分です。美は細部に宿っています。
どうぞ散歩がてら、ステキなモチーフを探してみてください。
次回は年間講座最終回になります。
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